■一度きりの人生だから~悔いなく生きる~
“どうしたら悩みを乗り越えて大人になれるのか” 伊集院静の週刊文春“辛口”人生相談ジャンル別傑作選エッセイ集「大人への手順」を前編で紹介しましたが、これとは他に、最近、19さんが読んで感銘を受けてたもう一つの本が、年初に発行された双葉文庫の伊集院静の「一度きりの人生だから」。その表帯紙には、『一度きりの人生だから「出逢いを大事にしよう」「旅に出よう」「自分を知ろう」と国民的作家が贈る「遊び」の大切さがつまった珠玉のエッセイ集』と書かれ、裏帯紙では、『どんな社会的地位のある人物でも、旅に出て自分のことを誰も知らない土地にいけば、どこの何者でもない」と思い知る。それが大事だと著者は語る。ほかにも、知っておくと役に立つ身だしなみや手紙の作法、人との出逢いによって学ぶことなど、「大人としての処し方」を綴るエッセイ集、待望の文庫化』と称賛しています。
そこで、今年二月の終り、七福神の19さんが仕事帰りに本屋さんで買い求めた「一度きりの人生だから」の一冊の本であらためて思い知らされた一こまの一部をご紹介します。
■言葉は人々の大切な生きる糧
伊集院静がスコットランドのアイラ島を訪れた時に泊まったBBホテルの女主人が今は殆ど使われていないゲール語を喋っていて、その理由を尋ねたら、「この言葉は私たちの母国語です。これを失うことは私たちが消えるということです」と教えられ、伊集院静は、言語は人々の大切な生きる糧なのだと改めて認識させられたそうです。(「スコットランドの北もいい」から抜粋)
そう言えば、明治維新に魅せられて山口の大学に行きたいと言った私を、「心配すんな。きばれよ」と、父亡きあと家業(農業)を継いで土建会社のアルバイトをしながら、八人兄弟の末っ子の私には何一つ不自由させることなく援助してくれた親代わりの実兄(昨年四月他界)も、「かごんまを忘れたらいかんど。かごんま弁をけ忘るんな」が口癖でした。
今年3月11日、BSテレ東の東北大震災特別番組「あれから11年。音楽で東北そして日本にパワーを」で流れた新沼謙治の「ふるさとは今もかわらず」の歌を聴いていたら故郷川内と重なって、BBホテルの女主人や実兄の故郷への思いが分かったような気がしました。やはり故郷はどんな時にも生きていくための力を与えてくれる命の源泉。故郷の人・山・川・草・木、いつまでもかわらずにいてほしいものです。そのためにも、遠く故郷を離れていてもそれぞれの置かれた場所で、小さくてもいい、出来ることを応援していきたいものです。
■勝負事は、戦いがはじまる以前に、
身だしなみで半分は決している
伊集院静は若い人たちに野球を教えていた時期があって、若い選手たちにこう言ったそうです。「まずユニフォームの着方を覚えなさい。どんな格好のユニフォームの着方をしても勝てばいい、という発想をするな。勝つものは勝つかたちをしているんだ。プレーでどんなにユニフォームが汚れてもいいからね。同じ汚れ方でも、さすがだナという汚れ方をしなさい」「いいか。田舎者の野球をするんじゃない。ユニフォームは自分で洗濯してシワをよく伸ばして着るんだ。そうしてグランドに出て来なさい。」と。これでチームとして野球が強くなったそうです。ユニフォームをきちんと着こなせることで野球のプレーもきちんとできるのだそうです。(「大人の男のお洒落」から抜粋)「勝負事は、戦いがはじまる以前に、身だしなみで半分は決している」という考えに全く同感です。
そう言えば、セパ交流戦で連日ドラマチックな戦いを演じ感動を与えている日本ハムファイターズの新庄ビックボスにもこれに通じるものがあるようです。一見破天荒に見えるその采配と選手の育て方・伸ばし方には、将来を見据え、ち密に計算された事前の準備と洗練された戦略、それに加えて、選手への思いやり、強い信念が感じられます。
「靴で、その人の身だしなみへの思いがわかる」と言った銀座のママがいたそうですが、その店は飲み逃げの客がほとんどいなかったそうです。靴をきちんと自分で選んで自分で手入れをして、きちんとして履くのが男のお洒落の大事なポイントだそうです。そう言えば、銀行に入社した時の新人研修の講師がやはりそんなことを言っていましたっけ。
七福神の19さんは、この歳になるまでどちらかと言えばお洒落には無頓着で、会社ではお決まりのスーツにネクタイ姿でしたが、これを読んでハッと気づかされました。今からでも遅くはないと…と、早速、TPOに合わせた靴とジャケットとパンツを買いました。試しに、その靴履いて、お洒落なジャケット着て遊びに出かけましたが、ちょっぴりリッチな気分で、心うきうきでした。
伊集院静のエッセイ本「大人への手順」「一度きりの人生だから」はお薦めの本です。
社会環境が変わり、働き方改革が進む中で、悩むことの多い昨今ですが、そんな時、この本を開いたら、解決策が見つかるかもしれませんよ。(2022.5.1)
前編はこちら「南風の便り」⇒ HOSJAS企画合同会社
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